アジア創研産業が国内独占契約を結んでいるルマセンステクノロジー(LumaSense Technologies)社。
変電所の監視システムを中心に、様々な製品およびサービスを展開しています。
今回はこのルマセンステクノロジーが持つ技術や、独自のサービスメリットについてご紹介すると同時に、変圧器の遠隔監視システムの重要性や将来性について考察してみたいと思います。
ルマセンステクノロジーとは?
ルマセンステクノロジーは世界の主要産業に効率化をもたらし、限りある資源を有効活用するという理念の元、アメリカで創業しました。
電力業界、素材業界、最先端技術業界に最先端のセンシング技術を提供しています。主要産業は、発電所、変電所、石油・ガス精製所、半導体、ウェーハー、LEDなど多岐に渡ります。製造工程の効率化、無駄の削減を目的とした様々なソリューションを提供しています。
特にセンサーのメーカーとして高い評価を得ており、後述する変圧器の遠隔監視技術では、海外におけるデファクトスタンダードの地位を築いています。
アジア創研産業は変圧器に関する独自の技術があることから関係性が始まり、国内独占代理契約に結びつきました。
ルマセンステクノロジーの独自性をご紹介する前に、まずは変圧器が故障してしまうメカニズムについて、簡単に復習したいと思います。
温度上昇による故障のメカニズム
変圧器が停止してしまう要因の一つが、過負荷運転による絶縁物の劣化です。通常、変圧器内部の巻線には絶縁物としての紙=絶縁紙が巻かれています。この絶縁紙ですが、日々変圧器を動かす中で、振動によってだんだんと摩擦してしまいます。
特に長年稼働している変圧器だと、摩擦に加え、乾燥や経年劣化により、損傷が進んでいるケースが多くなっています。
そんな中で変圧器内部の温度上昇が一定レベルを超えてしまうと、劣化している部分が原因となって事故が発生してしまいます。
変圧器内部の温度上昇をもたらすのは、容量限界ギリギリまで動かすような場合です。しかし、変圧器を効率良く動かすためには、なるべく変圧器の性能を最大限に活用することが重要です。
安全性とコスト効率。この悩ましい問題を解決するのが、ルマセンステクノロジーが開発した遠隔監視装置になります。
独自のサービスを開発
ルマセンステクノロジーが開発した技術とは、変圧器内部の巻線の温度を、光ファイバーで直接計測してしまうものです。
温度をリアルタイムで監視することにより、過度な温度上昇を未然に防ぎ、変圧器の性能を最大限に活用することができます。
従来の巻線温度測定はあくまで理論値に基づいた試算温度であり、実温度ではありませんでした。その点ルマセンステクノロジーの技術は、巻線温度の常時監視が可能です。状況に応じた適切な温度管理によって事故を防ぎ、変圧器の寿命を長期化させることが可能となります。
日本企業でも開発できなかったこの監視技術により、ルマセンステクノロジーは当分野で世界有数の技術を持つ会社となりました。
同時に、ルマセンステクノロジーは油中ガス分析の遠隔監視システムも開発しています。これによって定期的に絶縁油を採取する必要がなくなるので、人件費や時間的コストなど、様々な側面から業務を効率化することができます。
なぜ、常時監視が必要なのか?
一方でこの変圧器の常時監視システムですが、日本企業では導入が進んでいないのが現状です。
それは、日本と欧米の企業文化の違いに起因します。海外企業は効率的に変圧器を利用するために、変圧器を容量いっぱいまで使用します。自ずと変圧器内部の温度上昇を引き起こすため、温度の常時監視が安全上の重要なソリューションとなります。
翻って日本企業では、万が一の事故を防ぐために、変圧器を容量いっぱいまで動かす機会は非常に限られています。1台の変圧器を効率的に使うよりも、2台の変圧器を余裕を持って動かし、事故を予防するという考え方が一般的です。
確かに上記のようなオペレーションでは、内部温度の常時監視はあまり必要がありません。しかし、これではコストが余分にかかってしまいますし、電気を無駄に使用してしまいます。特に鉄鋼会社など、大量の電力を必要とする企業の場合、ロスしてしまう電力量も大きくなってしまいます。
効率的なエネルギー利用を企業全体で進めるために、あるいは、エネルギー使用量を削減して環境負荷を抑制するために、今後は日本企業でも変圧器の常時監視システムが必要であると私たちは考えます。
実際に弊社は上記システムを、富士電機(株) 三菱電機(株) (株)東芝 (株)明電舎 (株) 日立製作所 ABB Siemens Alstom (順不同、敬称略)などの企業の海外向け製品にて納品しております。
ご興味を持たれた方は、アジア創研産業までお気軽お問い合わせください。御社のエネルギー利用効率化に、技術とサービスでお応えいたします。